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Q SKIP

スマホがそのまま乗車券になる、東急線のデジタルチケットサービス「Q SKIP」。
これまでの紙のきっぷやICカードに加え、乗車券をQRコードで利用できる仕組みを導入し、チケットレス乗車を可能にしました。

Category

UI/UX Design

Date

2026.3

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「ただ移動する​ため」から​「楽しむための​体験」へ

「Q SKIP(キュースキップ)」は東急電鉄とURBAN HACKSの共創のもと、2023年8月にサービスを開始しました。紙のきっぷやICカードに加わる新たな選択肢として、東急線のデジタルチケットをスマートフォンで購入し、QRコードで改札を通過できるチケットレス乗車を実現しています。
そして本プロジェクトが目指したのは、ただ移動を便利にすることだけではありません。沿線の店舗やイベントと連携したチケットも展開し、移動を「目的地での楽しみ」につなげることで、おでかけのきっかけを生み出していきます。こうした体験をよりよい形で届けるために、サービスを継続的に開発・改善しています。

開発に至るまでの交通事業の背景

コロナ禍を契機に人の移動が制限され、交通事業は厳しい局面を迎えました。そこで、コスト削減にとどまらない事業構造の変革と収益創出を重要課題と位置づけました。
従来の通勤・通学需要に加え、近場へのおでかけ需要(マイクロツーリズム)にも対応するため、用途や企画に合わせて柔軟にチケットを造成できる仕組みの構築を目指しました。

移動と体験をつなぐ、Q SKIPのチケット設計

Q SKIPは日常の移動を支える「乗車券」と、移動に体験を掛け合わせる「セット券」を提供しています。乗車券はスマホで購入したチケットをQRコードで表示し、そのまま改札を通過できる仕組みです。
一方のセット券は、沿線の店舗・施設で使える利用券などを乗車券とセットにした企画チケットです。移動と体験をワンパッケージにすることで、沿線へのおでかけのきっかけづくりにもつなげています。
また、選びやすさと改札前の迷いにくさを目指し、情報の見せ方と導線を見直しながら開発を続けています。

イベント連携で広がる、沿線のおでかけ

「セット券」では、沿線のにぎわいづくりやエリア内の移動需要の創出に向けて、イベントや地域・店舗と連携した企画を広げています。たとえば「クラフト餃子フェス」や「東京ラーメンフェスタ」など、体験と移動をセットにしたチケットを展開してきました。
デジタルチケットならではの柔軟性を生かし、「人・まち・交通」をデジタルでつなぐ取り組みを強化していきます。

かざすだけで通れる体験の安定化

サービス提供にあたり、改札通過時の読み取り精度は体験の基盤となる要素です。安定した運用を見据え、駅環境の特性を踏まえた改善に取り組みました。
改札機が設置される駅は屋外光の差し込みや雨滴によるガラス面の反射など、カメラによる読み取りを妨げる要因が多い環境です。さらに、お客さまのスマートフォンに貼られた保護フィルムの反射も、精度低下の一因となることが分かりました。
こうした課題をハードウェア改修だけで一律に解決しようとするとコストが大きくなります。そこで、ハードとソフトの両面から協調して設計する方針を採用しました。具体的にはQRコードの「誤り訂正機能」を最適化し、ソフトウェア面から読み取り精度を補強しました。

ユーザー視点と現場視点のフィールドテスト

Q SKIPでは対象エリアや機能のスモールスタートを意識し、仮説検証とフィードバックのループを重視した開発サイクルで、価値検証とUX改善をスピーディに回す仕組みを構築しました。
その際データだけでは見えない部分もあるので、関係者と共にフィールドテストを行い、ユーザー視点と現場視点を取り入れながら改善を行っています。

フィールドテストではユーザーがスマホの画面回転を固定していない場合、改札にかざす動作の中で端末が意図せず横向きになり、表示の切り替わりによってQRコードが見切れてしまうことに気づきました。
そこで横向き状態ではQRコードをオーバーレイで大きく表示する実装を追加し、持ち方や動きに左右されにくい読み取り体験に改善しました。

「テクニカルディレクションアワード」において金賞を受賞

2025年8月6日に開催された「第2回テクニカルディレクションアワード」において、デジタルサービス/プロダクト部門で唯一の金賞(Gold)を受賞しました。鉄道サービスが本アワードの金賞を受賞するのは初めてとなります。

本アワードは、一般社団法人テクニカルディレクターズアソシエーションが主催するもので、全5部門で構成されています。応募されたプロジェクト作品の中から、「アイデアをどのような体制・仕様で具体化するかを考える」テクニカルディレクションが優れている作品を選出・表彰することで、テクニカルディレクションの重要性を伝えることを目的としています。

受賞の主な評価ポイントは、以下の通りです。

  • 改札機との連携を含むハードとソフトの高度な設計、多様な交通手段への対応、安定したセキュリティなど技術的完成度が高い点。

  • 鉄道業界にアジャイル開発を導入し、サービス価値の検証と改善をスピーディーかつ着実に行っている点。

  • 社会実装を見据えた先進的で実践的なテクニカルディレクションが今後の社会インフラの指標となる点。

Q SKIPは、モビリティ×デジタル×日常の楽しみが交差する中で、今後も「移動・購買・体験」が一体化した新しい都市生活のインフラとして社会実装を目指します。

>> 受賞に関するインタビュー

※出典:東急株式会社 ニュースリリース「スマートフォン表示のQRコードによる乗車を可能にしたデジタルチケットサービス「Q SKIP」が「テクニカルディレクションアワード」において鉄道サービスで初めて金賞を受賞しました!」(2025年8月07日)
URL:https://www.tokyu.co.jp/company/information/detail/58706.html

Team

Product Manager:Tetsuhiro Ishigami, Miji Park, Tomohiro Takahashi
Account Manager:Daisuke Yamamoto
UI/UX Designer:Shinya Oi, Tomotsugu Takahashi, Keiichi Takayama
Front-end Engineer:Satoshi Manabe, Shuhei Tamari, Genki Nakamura
Back-end Engineer:Takahiro Otomo, Takenori Nakagawa, Kohei Iwamura
Infrastructure Engineer:Akihiro Nakagawa
QA Engineer:Shotaro Abe, Takashi Mizukami, Akihito Sato, Norihisa Kikuichi

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